本の貸し借りはまじでやめよう

 脚本術の本を探して部屋中ひっくり返していた。すると、積み重なった本の最下層から、他人から借りたまんまの本が出てくる出てくる……。極悪非道な所業と分かっているのだが、私には人に借りた本を返すのをすっかり忘れてしまう、というか積極的に忘れた風にする悪癖がある。しかも大体、本を貸し借りした人とは縁が切れる。なんでか考えたんだけど、本をやりとりする時点でちょっと焦ってるんだと思う。はよ距離縮めたいとか、距離縮めたほうが仕事が捗ってオトクかもしれんとか。自分の心は開示したくないけど、相手の心は掌握しときたいみたいなときに、無意識に本の貸し借りを使う。そんな打算の関係は続かない。あとは、好きな本を読んでほしいという「我」が強いために、ドサッとたくさん貸してくるタイプもいた。私は調子のいい性質なので最初は頑張って読んでしまい、やがて頑張りが続かなくなって積む。やがて実は読んでないねんーと言うのがめんどくさくなり……みたいな感じ。ドサッと貸してくるタイプの奴、大体自分のことわかってほしいが先行してて他人のこと気にしてないから中身も全然好みじゃないねんよな……。ゆーて返すの忘れるほうが最悪なことに変わりはないのですが。最近ではパターンがわかってきたので、本を貸したい、借りたいって衝動が出てきたときに意図的にストップをかけています。関係性を縮めるのに焦ってねーか、また自分を隠したまま楽してショートカットしようとしてねーか、とか……。

 はたして、目当ての本は出てきませんでした。

自分というコンテンツ

おじさんに読ませる小説を書こうとして一生懸命浅田次郎を読んでたんだけど、合間に舞城王太郎の「ビッチマグネット」を読んだりしてたら、ウアーッやっぱおもしれ~~~~~こっちが好きだよぉ~~てなってしまった。おじさんのやつはサクッと終わらせようほんとうに…。ビッチマグネット、ところどころ昔の自分のマーカーがひいてあるんだけど、面白い…。こんなところに注目してたのか、こんなところが響いていたのかと。この文章が響いてる割に、今の自分はなにも学習してなくて変わってねーなとか。ほんまに昔の自分ほど面白いコンテンツはないですね。自分自身、コンテンツとしては素直に大好きです。そう、自分が好きか嫌いかを考えたときに、このままならなさみたいなのはどうしてもイヤなんだけど、物語としてはめちゃくちゃおもしれーんだよな~。

死にたみ先生

 十年前くらいデザイン系の社会人学校に通っていた頃お世話になった先生を思い出した。当時、その先生と対峙すると自分が恥ずかしくて死にたくなっており、「死にたみ先生」と心の中で呼んでいた。死にたみ先生はめちゃくちゃドライで端的で的確で怖い先生だったけど、質問するとちゃんと丁寧に教えてくれるという、明確に、能動的な姿勢の学生に優しい先生だった。勉強することの楽しさを初めて死にたみ先生に教えてもらった。なんで死にたくなってたんだったかなー…。多分、コミュ力とか生きていくスキルとか家族とか経験値とか、私が持ってないものを全て持っている全知全能のように見えたからだと思う。私は死にたみ先生が「テラフォー〇ーズがめちゃくちゃ面白い」って言うんで、漫画喫茶で一気読みしました。そしたらむちゃくちゃつまんなくて……。雷が落ちるくらいの大ショックを受けました。私の中で死にたみ先生は最強の存在だったから、感受性も私の基準での最強値に違いないと思っていたんです。要するに、なぜか先生のことなにも知らないのに、先生と趣味や価値観が合うと思い込んでいたんです。怖いですね。そのことに自分で気が付いたときめちゃくちゃ驚いたことを覚えています。

 卒業制作で私は死にたみ先生の仰ったことを可能な限りインストールして、ほぼ、完璧な制作物を作り上げました。でも死にたみ先生は発表会に来てくれませんでした。担任じゃなかったので当たり前だし、私は「先生、発表会に来てください」と言うべきだったんだけど、なぜか「念」で来てくれると思っていた…。でも来てくれなかった。私のやる気は一気になくなってしまいました。でも、なんやかんやでそれからほぼ十年、ダラダラとその業界で働いてたので死にたみ先生の教えは私の中で生きています。今年で当時の死にたみ先生と同い年になります。三十六歳になろうという年齢の実感的には…、やっぱ死にたみ先生はスゴイ。今自分が同じことできない。ほんまにすごいなー。と思う一方、十個下の人に突然崇め奉られるみたいな話は、普通に誰にでもありそうだなと思った。(笑)大人って本当にすごく見えるんだよね。選んでる洋服にしても、大人としては吟味して失敗して七転八倒してきて経験を積んでやっとそれに行きついたのに、突然なにげなくパッと正解を選んでるみたいに見えてしまうんだよね。若者には。若者たちよ。三十代以降を信じるな。ドントトラストオーバーサーティーだよ。(笑)

お前は誰だ

子供のときのように初恋の人と気易く話す夢をまた見てしまった。恋人ができたらこの夢は見なくなると思ってたけど、別にそんなことはなかった。普通に見る。彼は顔がよく、スクールカーストの上のっほ~、成績も上のっほ~の人だったので、今もきっと順風満帆な人生を歩んでるに違いないと思う。結婚はしてるだろうね。子供だっていたりして。お~怖い。知らんけど。私はというとスクールカーストドブのっほ~で、子供もいませんし、結婚もしていません。実家暮らしのフーテンみたいな生活をしております。実家暮らしのフーテンてなに。(笑)あの頃の「二人は対等な感じ」というのがもう永遠に失われてしまったものだと思うと本当に悲しい。恋人になりたいなんてもう言わない。私はただ君と他愛もないおしゃべりをしたいだけなんだよ。あの頃みたいに。これからも見ず知らずの他人の男性に初恋の人っぽい要素を投影して、でも、君は、私と対等におしゃべりしてくれないんやね…と思い続ける人生やと思う。なにそれつらい。本当につらい。

 

外でうるせーガキの声がする。「なぁこんなところにポテチの袋あるで!!」どうやら私が玄関で、ポテチの袋風のキットで育てているじゃがいもを発見して、はやし立てているようだ。おい。ふざけるな。そいつは今日芽を出したばっかりなんだ。慌てて出ていってドアをあけると5、6人のガキがワラワラ。ウッとなりながら説明する。「それ、じゃがいも育ててるから、おいといてな……」ガキ相手でも人見知りを発揮しておどおどしてしまう。オトナみたいにバシッと注意できない。「丸好きなん??なぁ丸好きなん??」ガキが私に問う。どういう意味だ。ガキの思考回路は皆目わからない。「え、どういうこと?」「顔も丸いほうが好きなん??」「????」混乱を極めていると後方の自転車にまたがったガキが吠えた。「おいそれ悪口だぞ」悪口だったのかよ。私って今悪口を言われたんだね。お前の一言のせいでなんか傷ついたわ。きっと私が丸顔+丸眼鏡だったからとかではないでしょうか。普段この知り合いもロクにいない町で、幽霊のように気ままに暮らしている私だけど、急に現実という舞台に引きずり出された気がした。大人はほっといてくれるから幽霊でいられるんよ。子供はそうはいかんな。怖いなー子供は。現実を急に突き付けてくる。「丸好きなん??」って、「お前は誰だ?」っていうことだよな。

脳の物質で心を制す

恐ろしい事実に気付いたんだけど、私の中に漫画を続けてる理由として「他人よりできるから」っていうのがあって……。その辺のまず絵とか描かない人よりはできるけど、漫画世界の中では完全に破綻してる……この理由……。すごい怖い。周りが見えてないと最強の存在になれるなほんまに。まぁ、でもほんまにその辺の人よりはできるからいいってことにしとくか…。

 

最近はこの本読みました! 面白かった。私、嫌なことがあるとフリーズしてしまいそれが自分の中で嫌なことじゃなくなるまで放置してしまう人なんです…ほんまに…そのせいで何回も人生を爆破してきました…。ので今回はそれを打破しようと思って一回これを読んでみた。やること細分化して強い意志でやれ!! て書いてあったわ…。ほんまそれやねんけどな。とりあえず朝起きたら日光を浴びるとか、音楽をかけるとかそういうところから試してみようと思います。脳の物質で心を制してやる!!

不安しかない

今、編集さんに出さなければならないネームが一件、別の編集さんにプロットやアイディアが一件、はい、もう溜めてますね。今これ絶対めちゃくちゃチャンスなんですけど私にとってはめちゃくちゃ逆境でもあり…もう…。商業漫画家になるのが恐ろしいです。はい……。

 

・いつも面白いもの全力投球できるのか

・連載とかできるのか

・締め切り守れるのか

・体力はあるのか

・収入はあるのか

 

はい、不安しかない…商業漫画家…。

「明日、機械がヒトになる」を読んでいます

今読んでる「明日、機械がヒトになる」という本の中で、人間のハッピーを全部データ化して、「次にあなたはこういう行動をとるといいですよ」っていうアドバイスをくれるデバイスをずっとつけて生活してる人が登場するんだけど、なんかすごいよさそうなんだよね……。私もそれつけて生活したい。けど律儀に守れるかは疑問だな。とくに、もう寝ろとか、やりたくないことをやれとかはやらないと思います……。やらねーのかよ。