お前は誰だ

子供のときのように初恋の人と気易く話す夢をまた見てしまった。恋人ができたらこの夢は見なくなると思ってたけど、別にそんなことはなかった。普通に見る。彼は顔がよく、スクールカーストの上のっほ~、成績も上のっほ~の人だったので、今もきっと順風満帆な人生を歩んでるに違いないと思う。結婚はしてるだろうね。子供だっていたりして。お~怖い。知らんけど。私はというとスクールカーストドブのっほ~で、子供もいませんし、結婚もしていません。実家暮らしのフーテンみたいな生活をしております。実家暮らしのフーテンてなに。(笑)あの頃の「二人は対等な感じ」というのがもう永遠に失われてしまったものだと思うと本当に悲しい。恋人になりたいなんてもう言わない。私はただ君と他愛もないおしゃべりをしたいだけなんだよ。あの頃みたいに。これからも見ず知らずの他人の男性に初恋の人っぽい要素を投影して、でも、君は、私と対等におしゃべりしてくれないんやね…と思い続ける人生やと思う。なにそれつらい。本当につらい。

 

外でうるせーガキの声がする。「なぁこんなところにポテチの袋あるで!!」どうやら私が玄関で、ポテチの袋風のキットで育てているじゃがいもを発見して、はやし立てているようだ。おい。ふざけるな。そいつは今日芽を出したばっかりなんだ。慌てて出ていってドアをあけると5、6人のガキがワラワラ。ウッとなりながら説明する。「それ、じゃがいも育ててるから、おいといてな……」ガキ相手でも人見知りを発揮しておどおどしてしまう。オトナみたいにバシッと注意できない。「丸好きなん??なぁ丸好きなん??」ガキが私に問う。どういう意味だ。ガキの思考回路は皆目わからない。「え、どういうこと?」「顔も丸いほうが好きなん??」「????」混乱を極めていると後方の自転車にまたがったガキが吠えた。「おいそれ悪口だぞ」悪口だったのかよ。私って今悪口を言われたんだね。お前の一言のせいでなんか傷ついたわ。きっと私が丸顔+丸眼鏡だったからとかではないでしょうか。普段この知り合いもロクにいない町で、幽霊のように気ままに暮らしている私だけど、急に現実という舞台に引きずり出された気がした。大人はほっといてくれるから幽霊でいられるんよ。子供はそうはいかんな。怖いなー子供は。現実を急に突き付けてくる。「丸好きなん??」って、「お前は誰だ?」っていうことだよな。