コートみたいな彼氏がほしい

なぜ婚活しているのか人に聞かれる度に、「早くしないと加齢により市場価値が徐々にさがっていくと感じるから…」とかどこかで見聞きした適当なことをぺらぺら答えながら、なんだかこれは自分の言葉ではないと感じている。

 

「もう○○歳だよね?」「今更気が付いたの?」

って、私の行動や気持ちにいちいちマウントしてくる声が頭の中にある。声の正体は私自身であることは百も承知で、ことあるごとに出てくるこいつはまずどういう時に現れるのか観察してみた。最近は「WEAR」という一般人のオシャレな自撮りを延々見られるアプリがおもしろーいとツイートしようとした瞬間、「今頃知ったの?」って声。こいつなにがしたいんだろう、なにが目的で私にマウントとってくるんだろう、ってもう暫くじいっと見てみる。

 

水を吸い上げてよれるティッシュみたいに気持ちが染み渡ってきた。私は恥ずかしいのだと思った。人が知っていて当然のように思えることを知らないこととか。そして彼氏がいないことが猛烈に恥ずかしいのだと突然思った。恥ずかしすぎてもはや恥ずかしいことすら恥ずかしく、ツイッターやブログでわざわざ文字にしたり、よく知らない他人にも堂々と彼氏が欲しいと話したりして、さも恥ずかしくない風を装っているのだ。「裸ですがなにか?」ってふれてまわってる王様は、実はとっくに自分が裸であることに気が付いている。

 

裸で思い出したけど、最近ちょっとお高いコートがほしいな~と思いついて色々見ているんだけど、生地とか形とかすごい色々あって選べない。自分がなにが欲しいのかあまりわかってない。絶対ベージュ!って日もあれば冒険してブルーグレーがいいな~とか、やっぱ使いやすい黒だろって思う日もある。恋人もコートみたいなもんなのかな。わかんないけど。コートみたいな彼氏が欲しい。