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引っ越しが鬱

「洗濯機と冷蔵庫、大きいの買ったら、引き揚げてきた時にどこに置くん。そんなもんゴミやと思って買いや」

母親がそーゆーこと言ってくるので、どーゆーことだよとなる。私みたいな脆弱野郎は早々に引き揚げてくるって決まってるのかよ。笑 態度では無関心を装っておいて突然言葉でキッツい干渉したり、その逆だったり、典型的なダブルバインドじゃねーか。毒親だァァァッ!子供を無力な存在として扱うことでいつまでも支配下に置こうとするまぎれもねぇ毒親の本性がいよいよ顕在化しちまったぜぇぇッ!ってなってる。だけど考えてみると、私は親に毒親のレッテルを貼って責任転嫁することで自分自身の病理や依存心を隠蔽しているのかもしれない。あるいは自分自身の病理や依存心を隠蔽しているかもしれないと思って頭の中で自分を痛めつけてしまうところまでもが毒親に骨の髄までコントロールされた思考回路なのかも。あるいはその「毒親に思考回路をコントロールされている」というところまでが自分自身が自分の罪を親に擦り付ける為に自分に仕掛けた巧妙な罠なのか。あるいは…。そんなことをぐるぐる考えて、引っ越し業者をさっさと決めなければいけないという現実から消極的に逃避していたら、首のリンパがなんかめっちゃ腫れてきた。多分ピアスの穴から血が出続けてるのでそれのせいだと思う。こんなとこ風邪ひいても腫れたことないのに。ハァ~私の白血球すら私が欠落した女性性を獲得しようとしてちょっとピアスの穴とかあけたくらいで早速抑圧しにかかるのかよ。ハァ~も~なんだよ。

 

階下からクッキーの焼けるにおいがしてくる。母親はいつもこうだ。私がナーバスになっていると、こうしてお為ごかしに大量にクッキーを焼いたり私の好きなチーズを大量に買ってきたりする。私はいつもそれらを「そうじゃねぇだろ」と半狂乱になってゴミ箱にブチ込みたい衝動を抑えながらニコニコ食べたり、時にはゴミ箱にブチ込んだりした。そんなにナーバスな気持ちになっちゃいけないのかよ。いつもいつも元気でいなきゃいけないのかよ。そんなの人間じゃねぇだろ。例えばそんな風に私が自分の気持ちを言葉で話し始めると、凶悪事件の被害者遺族みたいな顔をして延々黙っている。私が「なんで黙ってるの」とキレれば「どういえばいいか考えている」と言って逆ギレしだす。「物を渡してくるのはそうしてれば私の面倒な部分には一切触れないで済むし、なにか具体的にしてやった感と自己肯定感が手っ取り早く得られるからですよね?」とか言えば「あんたの分析は毒。言葉で話されるとまるで自分がその通りに考えてたと思ってしまう」とか言ってくる。なので「お母さんって泥みたいだね。私が何言っても自分の気持ちとか言わない。私がAと言えばそうだねAだねと言ったことについてやっぱりBかもと言えばそうだねBだねと言う。そうやって完璧に娘の意を汲む完璧な母親を志向してるのかもしれないけど、そんなの無理だし、それって完璧でもなんでもないから」「私、そんなに文章上手じゃないからあんたみたいに自分の気持ち言われへん」

あぁ不毛試合。そんな不毛試合をこちらから強制終了するために引っ越すんだった。鬱になってる場合じゃないんだ、早く業者を決める電話をしなきゃいけないんだと思ってキッチンに降りたら、母親がテーブルに小袋を沢山広げて、焼いたクッキーを小分けにしていた。「明日仕事場に持っていくねん」私が私のために焼かれたと思い込んでいたクッキーは、2、3個の歪な失敗作を残してカワイイ小袋に吸い込まれていった。