会社を辞めることにした。

先週、仕事しすぎでフラフラの社長と先輩から「これから君たちにもキッツイ業務をいっぱいしてもらう。できなかったら積極的に残業してくれ」という主旨のお達しがあり、目の奥から血がザザッとひいて頭に集まり、瞬間沸騰して大爆発。その時はなぜか「全ての人間が明日死ぬかもしれない」ということに対する恐怖が皮膚感覚を持って隣におり、「明日死ぬかもしれないのにこれ以上残業なんかしてられないディス!!!」と叫んでしまった。それ以外でも色々ギャアギャア喚いてしまったのだけども、なにを言ったのかマジでよく覚えていない。あの時の私には確実に別の何かが憑依していた。

 

それから2日間出社拒否して土日を挟んで月曜日に奥歯をキリキリさせながら出社した。その時頭を下げて猛省の態度を見せればまだ余地があっただろう。でもしなかった。週5でどこかに行ってなにかを必ずしなければならないということから発生する苦痛のために頭を下げなければならないとか、申し込んだばかりの絵画教室に全然行けなくなるかもしれないことのために頭を下げなければならないとかいう行為に、リアルな体重を乗せることがどうしてもできなかった。壮絶にめんどくさかった。このめんどくささから一刻も早く逃げたかった。「なんでも言ってくれ」と言われたので素朴でバカな私は「絵を描くのが…なんか楽しくなってきてしまって…時間をとりたくて…あと、なんで自分がこんなことになってるのか自分でよくわからないです…」そのまま思ってることをたらたら話したら「それは普通の会社で言ったら怒られるよ」どーゆーことだよ。それって怒ってると言うのと同じだろ。なんでも言っていいって言ったじゃん。そゆことばっかり。私を操縦して枠や罠にハメるな。ブッ殺すぞ。

 

次の日、私の辞める理由に関して、今の業種と絵を天秤にかけて絵を選び、自己実現したいから辞めるという物語ができており、全員の共通認識になっていた。それはみんなが、私という人間が業務を突然全放棄して辞めるという無責任に対する猛烈な怒りを、私と相対している間だけでも別の回路に受け流す為に必要な物語だ。だからもうそーゆーことにして話合わす。人は人を物語に容赦なく回収する。私もこいつら私を物語に回収してるんだ勝手に回収しやがってファック、という物語に回収してるのかもしれない。

 

ところで会社を辞めるのがものすごく悲しい。ダカダカ残務処理をしているとまだ続けていく余力全然あったじゃん?キレたのだってただのPMSでしょ?まだめちゃくちゃ謝れば許してもらえるんぢゃ?とゆーか、私はまだこの会社を続けていくのではないか?辞めるって誰のことなんだろ?とかいう言葉が次々とわき出してくる。よくサスペンスドラマとか名探偵コナンに「この男は月末の予定を入れていたんだ。そんな人が自殺するわけないからこれは殺人ダ!」というくだりが出てくるけど、私は自殺する人のことはよくわからないし自殺も幸いあんまし考えたことがないんだけど、たぶん自殺するとしても月末に予定を入れると思う。そんな感じでだらっと自殺すると思う。こんな私にものすごくよくしてくれたいい会社を辞めるということは自殺なのかもしれない。私はまだ全然ずーっと生きていくつもりでいるままにだらっと自殺するんだ。

 

やがてやることなくなって掃除をする。この掃除をしている人はもうすぐ会社を辞める別人で、私は席に着いて仕事をまだしている感じがしてくる。雑談に入れてもらえるだけで泣けてくる。会社辞めたくない。ここで働いている人たちが好きだ。集団に私の形をそんなに歪めず受け入れてもらえているという感触があったのは人生で初めてだ。しかもこの仕事にはかなり適性があると思う。でも正直好きでも嫌いでもない。週5でぶっ続けは苦痛だ。そして頭が仕事に特化していき、会社員に特化していき、金の使い方が雑になり、生活が雑になり、体力や気力が無く自律神経系と意志が弱いあまりに自分と対話する方法がどんどん雑になっていくのは果てしない苦痛だ。きっと先週キレた時に憑依していた「別の何か」は、この一年間毎日毎日騙し騙し蔑ろにしてきた私自身だったんだ。とかカッコつけて言って、甘えているだけかもしれない。自分で自分のことがよくわからない。よくわからないとか言っとけばプライドが傷つかないからよくわからないと積極的に言ってるだけのクズかもしれない。こんな長文を病んでる風にだけどガッツリテクニカルに書いて、私はトテモ病んでいるので全然悪くないディスというアピールをインターネッツにして、「いや、君やっぱ見るからに頭おかしくなってるから一旦休みなよ」といろんな人に慰められて安心したいだけの真性クズかも。クズでもいいよ。とりあえず会社辞めたら4日ぐらい寝ようね。