「地獄でなぜ悪い」を見ました

なんだろうこれ…とにかく創作者の狂気の映画だった…。ヤクザが映画撮る本題にいくまで長すぎてちょっとダレたけど面白かったです。もっと有名映画のオマージュをガンガン使って映画ファンに徹底的に媚びる方向性にもイケた気がするんだけど、そうしなかったのは、主題が平田の狂気だからだと思った。平田の映画愛は映画そのものへの愛じゃなくて、昭和座とファックボンバーズっていう居場所への執着だったり、創ってて楽しいっていう感情への執着だったから。最後テープ持って血だらけで走ってる時も、平田は起こった悲しいことがなにもかも都合よくチャラになって自分が評価される妄想をしてたけど、あそこで「さぁこれからどのシーンをどーやって編集しよっかな!?!?」ってワクワクできる人が映画監督になれる人だと思います。(笑)あと、現実をいつもカメラ越しに捉えて、普通の人だったらイヤだとか怖いとか思うところでも喜んだり面白がったりして、きちんと自分自身を生きられてないっていうところも、平田が狂気のモラトリアム監督だった原因なのかなって、自分と重ね合わせたりして思いました。(笑)ものを作る人ってみんなある一面では平田状態だとは思うんですけど…。昭和座のおじーちゃんは多分死んでしまったんだと思うんだけど、平田の妄想ではそのおじーちゃんまで出てきててすっごく切なかったです。「空気人形」の出会った人たちがみんな自分を祝ってくれる誕生日パーティーのシーンみたいな…アホな子の自分だけ都合のいい妄想ってなんでこんなに切なくなるんだろう。

警察官の「やっぱ映画の撮影なんじゃないすか?」のセリフで現実との境目がグチャッとなり、ラストシーンでふいに現実に引き戻されて鳥肌が立ちました。あのラストと、あとはバカ演出がついてる堤真一のオナニーシーンがちょう見どころです!!!