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マインドブロックバスター

日記
「マインドブロックバスター」のセッションを受けてきた。内容は伏せておくが、簡単な催眠とソレっぽい暗示を組み合わせたものだったように思えた。私は基本的に「お手軽・簡単・即効性」を謳うものは詐欺だと思っている。「3分でひとつ思い込みのブロックを解除できる」というマインドブロックバスターは、その全ての条件を完璧に満たしていた。キャッチコピーの「他の施術のように掘り下げはしない」というのも本当で、「私は自分がわからない」「私は大人になり切れない」など、葛藤のほんの上澄みの言葉を、沼が深くなる前にいちいち拾っては「解除」していく。通常、催眠は被験者が施術者に協力的であるほどかかり易いらしい。私は自分でカネを払っているのだから協力的になるに決まっていた。セッション中は目を閉じて自意識を追い出し、全身全霊でまな板の鯉になろうと努めた。 セッションの中に施術者が「今、潜在意識に、あなたがキャメルのリュックを背負っているのが見えました」と言った。私は施術前に部屋に入る時「好きな方を選んで」と二種類のスリッパを出され、薄い肌色を選んでいたことを自覚していた。キャメルともいえなくもない。通常は無意識下で行われるようなこちらの選択と施術者の言葉をさり気なくリンクさせるのも、被験者を体験に埋没させるテクニックの一つなのだろうか。ところで、私は元来異常に疑り深い。子供の頃はトイレに監視カメラがあって、誰かが私の脱糞や放尿を見張っていると思い、「今、これを見ている人を殺します」などと、パンツをおろして虚空を睨み付けながら一人で呟いていた。高校生になっていよいよ学校に不適応をおこし、ユング派の心理分析を受けたあとで、「実は私は道々の挙動から既に見張られていて、なんの病気かテストされているのではないでしょうか?」と半ば本気でカウンセラーに聞いた。だからこのスリッパだってたまたまだったかもしれない。このスリッパの薄肌色がキャメルだと思い込んでいるのは私の「どうせインチキなんじゃないの?」という疑いの心がそうさせているのかもしれない。それに仮にテクニックだったとして、果たしてそれを突き止めてどうする。インチキを暴くメリットは無い。それに、セッションをすることで、こういうものに身銭を切るということで、インチキでもいいから私はとにかく、普段は暗いことばかり考えているけれども、実は良い方向に進みたいんだなと思えた。それにしてもなぜ、ヒーリング系に携わる女性は顔が整っているのに化粧っ気がなくて肌が荒れている人が多いんだろう。私の左手にそっと触れている施術者の右手の指が、アトピーのように皮膚が赤くめくれていた。「じゃあ、最後は『私は自分が嫌い』(の解除)イッとく?」「はぁ。じゃあそれイッときます」