悪徳の正体

バイト先に所謂周囲と周波数の合わせにくい感じの新人くんがいる。(新人くんと言っても、入ってもう4、5ヶ月目になる)彼の失敗や斜め45度の言動はエピソードとして面白すぎるのだが、個性的すぎて個人を特定し兼ねないので省略する。

当然職場は陰口が蔓延っていて雰囲気がドチャクソ悪い。私自身はひとつの場に関わる人間同士なら陰口は言ってはいけないと思っている。陰口に関わることは悪徳とすら思える。「悪徳の誘惑に負けてなるものか」と、彼が入ってきてから4カ月くらいはかなり頑張ってスルーしていたのだが、先日とうとう負けてしまった。一回負けてからは恥ずかしいことにずっと負けている。私は彼に様々なバリエーションの感情を感じる。フッと呼吸が詰まるような怒りや、瞬間的に後頭部の芯の血液が冷えるような怒り、腹の引き攣るような呆れ笑いしか出てこない怒り、とにかく大体怒りなのだが、一日に何回も細切れに怒りまくっていると、汚泥のような言葉が腹の底に溜まってくる。これが溜まっている人同士が集まり、口から出てきて陰口になるのだ。職場や学校に合わない人間がいる人なんてゴマンといるだろう。では、みんなはこの悪徳をどうやって処理しているのだろう。特にその場の関係性の中の陰口という形で発散しない人は。5分に1回怒りを煽られるような出会いは中学生の頃ぶりだから、こんな中学生みたいなことで悩んでいる。

私はよく自分の体調不良の理由をググる。最近だと「舌 酸っぱい」とか「空腹 眩暈」とか「睡眠 断続的」「朝憂鬱 夜元気」「仕事 行きたくない」。答えは大体「(新型)鬱病」「ホルモンバランスの崩れ」「ストレス」「自律神経失調症」のどれかに行きつくので、いい加減この小さな箱に「誰か私をなんとかして~」と打ち込むのは、自分の不安を4つのどれかに振り分けるための儀式のようにも思えてきた。それでも、懲りずに心や気持ちの状態もググりまくる。この場合「陰口 言ってしまう」である。こちらは検索結果がまとめページで出てきた。余談だが、最近は本当にこの手のまとめとかライフハックに思考を支配されている感じが否めない。そういえばゲームもガンガン攻略本を見ながらやるタイプだったので仕方がない。(?)まとめ曰く、「陰口を言って盛り上がってしまうのは、実はその場所の人間と手軽に一体感を得たいという心の働き」で、この悪徳の正体はおなじみの承認欲求であるというのだ。どうすればいいのか自ずと見えてくる。承認欲求の存在を認めて、場に対して自分自身が欲を満たすためにポジティブな形で働きかけるだけだ。

とか、口先でカッコよく言うのは簡単なのだが…。